未来のモノづくり

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けんきゅうの研究所 Research Lab.:未来のモノづくり

モノづくりに長年、関わってきた。モーター、発電機、鉱山ダンプトラック、油圧ショベル、鉄道車両、風車、自動車部品など。これらハードウェア製品の信頼性に関する研究、開発サポート、出荷後の対応に携わってきた。私がこのような業務についた2,000年頃はITバブルの時期であり、1980年代に世界の時価総額ランキングの上位を占めていた日本企業はほとんどが下位に沈み、NTT、NTTドコモ、トヨタ自動車のみがかろうじて20位以内の状況だった。

 

また1980年代に世界で大きなシェアを占めていた日本の半導体事業も、米国の企業群にシェアを抜かれ、まだ何とかアジアの企業群よりも高いシェアを維持していたが、既に勢いを失っていた。その後、日本のモノづくりメーカーがどのような経緯を辿っているかはご存知だろう。現在、時価総額ランキングの50位以内に入っているのはトヨタ自動車のみである。大手白物家電メーカーで外資が入っていないのは、Panasonicと日立のみ。日本企業は世界の巨大企業と時価総額で大差をつけられていることから、失われた30年と言われている。

 

このまま日本のモノづくりは衰退していくのだろうか。今であれば、モノづくりで一時代を築いた人達の知識が日本には残っている。この残されたモノづくり知識と、近年急速に進化している破壊的技術を融合させ、かつ価値観の変化に上手く対応したモノづくりを実現すれば、まだまだ日本のモノづくりは世界と戦えると筆者は考えている。そこで、まずモノづくりで事業を継続させる上で避けては通れない信頼性の課題と、その解決アプローチについて考察する。続いて、その解決アプローチを上手く利用した新たな日本流モノづくり、未来のモノづくりについて、色々と提案してみたい。このようなことを考え続けることで、勝ち筋が見え、日本のモノづくりに再び元気が出てくるのではと期待している。