研究不正問題

- Research Misconduct Issue -

捏造したデータを使って、未知の現象を解明したと発表したり、新たな方法や新たな解釈を発表したりすること。また、過去に公開された論文の一部を、特に何の説明も無しに、自分の論文に使用した場合も、盗用という研究不正になる。

 

データ捏造については、やろうと思えばできてしまう、というのがポンさんの意見です。例えば、STAP細胞の論文はネイチャーという超有名な雑誌に掲載されました。論文のページに書きましたが、論文がある雑誌に掲載されたということは、その雑誌が選んだ2〜3人の研究者の審査を通過したということです。つまり、客観的な審査を受けて、論文に値すると判断されたということです。したがって、STAP細胞に関する論文はネイチャーに掲載するに値すると、ネイチャー側は判断したということなのです。最終的に、研究不正行為があったとして理化学研究所側が取り下げを依頼しましたが、取り下げ依頼が無ければ、そのままだったのです。

 

実は、ポンさんは学術誌に投稿した論文を自分で取り下げたことが一度あります。プラスチックは高温や高湿の環境に置かれると劣化しますが、このような現象に関する論文を投稿したときのことです。あるプラスチックを対象に実験を実施し、結果をまとめて論文にしました。投稿した学術誌が選んだ研究者の審査にも合格し、掲載が決定しました。しかし決定後も、1人の審査員の「その種類のプラスチックにしては劣化が激しすぎませんか?」という指摘がどうしても気になり、念のため、実験に使ったプラスチックの素性を再確認しました。その結果、ポンさんが思い込みで、プラスチックの種類を勘違いをしていたことが判明したのです。審査を通過していましたが、事情を学術誌の編集者に説明して掲載を取りやめました。最終的には、実験を追加して論文を書き直し、審査をもう一度受け、学術誌に掲載することができました。

 

STAP細胞の論文やポンさんの経験から、意図的か意図的で無いかにかかわらず、事実と異なる内容を論文化することが可能ということがわかっていただけると思います。審査者がいくら優秀な研究者であっても、論文の記載内容のみで不正と判断することは難しいですね。したがって研究者は、実験や計算の結果を誠実に、正確に伝える必要があるのです。

 

実験のやり方や、計算結果の整理の仕方を見ると、その研究者がどれくらいのレベルの研究者かわかります。試験機への試験体の固定が適当で、その結果、試験体を周りに飛散させながら実験をしている研究者を見たことがありますが、そんな実験ではまともなデータが取れているとは思えず、それが論文化されると考えるとゾッとしますよね。このような研究者は無意識に、無邪気に不正が含まれる論文を量産しますから恐ろしいです。