- Albert Einstein -
特殊相対性理論、ノーベル賞受賞などで有名なアインシュタイン。優秀な成績で大学を卒業した後、そのまま大学に残って教師になり、研究を続けて輝かしい研究成果を収めた。というような典型的なエリートコースを歩んだと思っている人が多いのではないでしょうか。実は、全然違うのです。
実は、アインシュタインは大学(チューリッヒ連邦工科大学)での成績がさほど良くなく、また物理学部長と不仲だったので、卒業後に大学に残ることは出来なかった。卒業後、臨時の代理教員やアルバイトを続けていた。そうした中、友人の父親の紹介で特許庁の常勤の仕事を得るのである。アインシュタインは、大学入学についても、すんなりとは入学していない。高校を退校した後、チューリッヒ連邦工科大学の入学試験を受験した。この試験で数学と物理の点数は非常に良かったものの、その他の科目の点数が芳しくなく、総合点が合格基準を満たさなかった。その結果、一般教養を身につける学校に入って学ぶことを条件に、翌年、チューリッヒ連邦工科大学に入学することを許可されたのだ。こうして一年後、晴れて大学に通えるようになったのである。
いずれにせよ、アインシュタインは特許庁に勤めながら研究を続け、その成果を論文として纏めて学術誌に投稿していた。つまり、アインシュタインは物理が、研究が好きな人で、研究職ではない別の仕事に従事しながら研究を進めている人だったのである。「物理、研究が好き」という彼の性質、素養が、アインシュタインを一流の研究者に至らしめたのではないかと思う。実際、1902年に特許庁に就職し、1909年に辞めるまでに、光量子仮説、ブラウン運動、特殊相対性理論など、重要な論文を発表している。
日本の大学、国の研究機関、企業の研究機関には沢山の研究者が所属している。その中に、研究が好きで、昼夜問わず、勤務時間内外を問わず、研究活動を続けている人がどれくらいいるだろうか。アインシュタインの経歴を眺めていると、恵まれない環境でも研究を続ける研究バカが、人類の課題を克服するアイデアを生み出すのでは、という思いに至るのである。