アラン・チューリング

- Alan Turing -

けんきゅうの研究所 Research Lab.:アラン・チューリング

アラン・チューリングは第二次世界大戦中にドイツ軍の暗号機エニグマで作成される暗号の解読に従事したことで有名です。この暗号解読により、連合国軍に多大な被害を与えていたドイツ軍の潜水艦Uボートの出現を予測し、連合国の勝利に貢献しました。この功績でチューリングは1945年に大英帝国勲章を受けていますが、業績の詳細は機密事項として1970年代まで秘密にされていました。

 

その結果、丁重な扱いを受けるどころか、チューリングは同性愛の罪で逮捕され、ホルモン治療を強要されます。そして、世間からは冷たい目で見られることになり(当時のイギリスでは同性愛が犯罪であった)、41歳という若さで亡くなってしまいました。第二次世界大戦後、すなわち生涯の後半は怪しい科学者として見られていたということです。本当に気の毒です。

 

このような戦後のチューリングへの扱いに対して、イギリス政府は2009年に正式に謝罪しています。アラン・チューリングの戦中の暗号解読への取り組みや戦後に受けた不当な扱いは「イミテーション・ゲーム」という映画で描かれているので、興味のある方はチェックしてみてください。イギリス人俳優のベネディクト・カンバーバッチさんがアラン・チューリングを演じています。

 

暗号解読、同性愛の罪および若くしての自殺のインパクトが大きいので、アラン・チューリングを語る時、これらのことが最初に触れられることが多いのです。しかし、アラン・チューリングの最大の業績は数学者として計算可能性に関して行った研究とされています。この計算可能性の研究の中、「チューリング・マシン」という抽象機械を提示したことが非常に有名です。ポンさんは工学系の研究者なので、計算可能性の具体的な研究内容を理解するのは難しいですが、どうやらチューリング・マシンは情報を読み書きするためのハードとソフトの基本概念が含まれているようです。また、理論だけでなく、戦後には初期のコンピュータの開発に取り組んでいます。まあ、凄い人だったということですね。

 

アラン・チューリングは暗号解読に従事していた施設では変人と見られていたようです。花粉症なので、花粉の飛散する季節にはガスマスクをしていました。また、チューリングはチェーンが外れやすい自転車に乗っていたのですが、修理はせずに、ペダルを漕いだ回数を数えていて、チェーンが外れる前に調整して乗っていた、という逸話が残っています。確かに、このような人を見かけると、ちょっと引いてしまいますね。